2018-05

ヒト

ミシンの魔術師—大澤紀代美さん
第11回  大将

1947年(昭和22年)9月、桐生市はカスリーン台風と後に命名される暴風雨に襲われた。町を挟むように流れる渡良瀬川、桐生川が氾濫、多くの死者・行方不明者が出ると共に63%の家屋が浸水被害を受けた。 大澤さんは当時、新築間もない家に住んでいた...
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ミシンの魔術師—大澤紀代美さん
第10回 絵画

躾を頑として受け付けない箱入り娘は、学齢期になっても一風も二風も変わっていた。 女の子は、おはじきやお手玉、おままごとで遊ぶものとされた時代である。だが、大澤さんはそんな「女の子らしい」遊びには見向きもしなかった。 女の子は綺麗な服をまとっ...
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ミシンの魔術師—大澤紀代美さん
第9回 銀のさじ

西洋に 「銀のスプーンをくわえて生まれてくる(Born with a silver spoon in one's mouth)」 ということわざがある。富貴な家に生まれついた、恵まれた子供たちのことである。その表現にならえば、大澤さ...
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ミシンの魔術師—大澤紀代美さん
第8回  パリ

大澤さんが、芸術の都パリで個展を開いたのは1993年のことである。 「糸の出会い展」 とタイトルを付けた。 といっても、自分で企画し、準備したのではない。お膳立てされて、それに乗っかった。 「パリで個展をやりませんか」 と誘ったのは、刺繍糸...
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ミシンの魔術師—大澤紀代美さん
第7回  個展

見知らぬ人からの手紙を受け取ったのは1975年秋だったと記憶する。天下の日展からは門前払いを受けた大澤さんだったが、そのころには「知る人ぞ知る」刺繍作家として世に認められ始めていた。突然の手紙を受け取ることも増えていた。 差出人を見ると、記...