2018-05

ヒト

ミシンの魔術師—大澤紀代美さん
21回 番外編

大澤紀代美さんの半世紀は前回で書き終えた。ずいぶん長い連載だったが、終えてみたら、大澤さんにお借りした写真が5枚、使わないまま残った。20回に渡って書いてきた話に、それらの写真を使うに相応しいところがなかったからである。 幸い、大澤さんのも...
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ミシンの魔術師—大澤紀代美さん
第20回 そして、いま

大澤さんは2018年、78歳になった。10年ほど前に一度寝込んだがいまはすこぶる元気で、市内のマンションの一室を借りた自宅兼作業場「アトリエ きよみ」と、桐生の目抜き通りである本町通に設けた「シシュウ ギャラリー」を往復する毎日である。どち...
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ミシンの魔術師—大澤紀代美さん
第19回 右目は助かった!

「今になって考えると、無謀だったと思いますよ」 と大澤さんはいう。無謀とは、愛誠園の園長さんが去って1週間もしないうちに和筆を手にして下絵を描き始めたことをいう。下絵は刺繍を始める準備作業である。大澤さんはすっかり「悲母観音」と園長さんに魅...
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ミシンの魔術師—大澤紀代美さん
第18回 悲母観音

右目だけは助けたい。その闘いは、さらに1年半ほど続いた。相変わらず自宅での静養、具合が悪くなれば入院、の繰り返しだった。 大澤さんにとっては視力を守り通せるか、失うかの闘いではなかった。生きていくことが出来るか、自殺するかの闘いだった。文字...
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ミシンの魔術師—大澤紀代美さん
第17回  死のう

眼球の奥底に網膜と呼ばれる部分がある。眼球のレンズを通して入ってきた映像が像を結ぶところで、フィルムカメラのフィルム、今風のデジカメなら撮像素子に当たる部分である。網膜炎とは、網膜に不要な光が来ないように守っている色素上皮細胞に小さな穴が空...