2022-08

モノ

一徹
喜多織物工場の3

【化学少年】喜多さんは「凝り性」である。1つのことを始めると、まるで取り憑かれたかのように熱中してしまう度合いが並外れている。機屋の長男に産まれたから、いずれ繊維関係の仕事をするのだろうと桐生工業高校紡織科に進んだ。だが、繊維関係ではもっぱ...
ワザ

一徹
喜多織物工場の2

【古い】喜多織物工場には8台の織機がある。最新型の高速織機は1台もない。導入する金が惜しいのではない。高速織機なら生産性が数倍に跳ね上がることも知っている。ところが。「この、古い織機じゃなきゃあ織れないんだよ、私の紗織り、絽織りは」どんなも...
ワザ

一徹
喜多織物工場の1

【紗織り】「紗(しゃ)」という字は、「糸」偏に「少」と書く。経糸(たていと)、緯糸(よこいと)を1本ずつ交差させる平織りに比べて、緯糸の数が半分で済む織り方だからこの字があてられた。糸数が少ないため軽い。また生地に隙間が多いので透けて見え、...