ヒト

ヒト

小黒金物店
第8回 押しかけ弟子

何度か来たことがある若者だった。刀の鞘を作るナイフと特殊な鑿を作ってくれという。引き受けて鍛冶場に入ると、そのままついてきて横に立ち、小黒さんの仕事をじっと見ている。よほど刃物が好きなのだろう。時々こんな客がいる。だから、ふと口にでた。「学...
ヒト

小黒金物店
第7回 一人だけの弟子

福島からバイクで乗り付けた高校生がいた。  「俺、鍛冶屋になりたいんです。伝統工芸士を目指してます。弟子にしてもらえませんか?」  ほう、福島からわざわざ、ね。しかも、まだ高校生で。どこで私を知ったのか? 悪い気はしなかった。だが、小黒さん...
ヒト

小黒金物店
第6回 小黒さんの仕事(下)

刃物は厚く作って薄く研げ。 これが刃物造りの原則である。  熱され、叩かれた鉄の表面は、小黒さんによると  「空気にさらされることもあって疲れてるんだんべ」  この疲れている表面は、研いで落としてやらないとまっとうな刃物にはならない。だから...
ヒト

小黒金物店
第5回 小黒さんの仕事(上)

小黒さんの刃物は切れると書いた。切れ味が長持ちするとも書いた。 どんな作り方をすればそんな刃物ができるのか? 小黒さんの仕事を見た。 刃物作りは材料の切り出しから始まる。 普通の大きさの鉈を例に取る。最も一般的な鉈は130匁(約500g)だ...
ヒト

小黒金物店
第4回 増えた小黒ファン

ぼちぼち注文が入り始めたのは、独立して5,6年たった頃である。  作るのは、習い覚えた鎌がほとんどだった。いつしか  「小黒の鎌は良く切れる」  という評判が生まれていた。教え込まれた技法に独学の工夫を加えた小黒さんは、鍛冶職人として確実に...