趣味? からくり人形師佐藤貞巳さん 第14回 出るわ出るわ
まず、ボロボロになっていた簑(みの)から修復を始めた。手に持つと崩れ落ちそうに傷んでいた。修理では追いつかないと見ると、麻のロープを買ってきてほぐし、その繊維で簑を作って色を塗った。刀は鞘から出して錆びついた刀身を磨いた...
まず、ボロボロになっていた簑(みの)から修復を始めた。手に持つと崩れ落ちそうに傷んでいた。修理では追いつかないと見ると、麻のロープを買ってきてほぐし、その繊維で簑を作って色を塗った。刀は鞘から出して錆びついた刀身を磨いた...
そして、次々と見つかるからくり人形に市民の関心も高まり、「桐生からくり人形研究会」が旗揚げした。佐藤さんがその第1期会員になったのはいうまでもない。 せっかくの盛り上がりである。郷土の文化をみんなの手で守って行くにはもう...
最初に見つかった「曾我兄弟夜討ち」のハイライトは、曽我五郎、十郎の兄弟が富士の裾野を舞台に、親の敵工藤祐経(すけつね)を討つ場面である。佐藤さんは、ここを盛り上げようと考えた。 オリジナルのからくり人形では、2人の刃に討...
「桐生からくり人形研究会」はその後、「桐生からくり人形芝居保存会」と名前を変え、いまでも活動中である。会員数は約80人。毎月第一土曜日にからくり人形芝居館で定期上演するのは会員たちだ。 頼まれれば、出張上演もする。忠臣蔵...
佐藤さんが修復した曾我兄弟、忠臣蔵などが大舞台で上演されたのはわずか3度だけである。 1回目は公共・国立科学博物館で2003年に開かれた江戸大博覧会だった。まだレプリカはできていなかったため、修復が終わっていた曾我兄弟の...