小黒金物店

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第10回 いろいろな客

2017年夏の、ある夕暮れのことだった。そろそろ夕食という頃、桐生市役所から電話が来た。「小黒さんの店に行きたいといって、神奈川県から女性が見えています。ちょっと遅いけど、お店に案内していいですか?」すでに店のシャッターは閉じていた。しかし...
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第9回 私と小黒さん

私に小黒さんの存在を教えてくれたのは斉藤さんだった。別件の取材で前橋市の群馬大学医学部を訪れたときだ。見知らぬ学生が寄ってきて、突然「記者さんですか?」と聞いてきた。恐らく、一眼レフのカメラをぶら下げていたからだろう。そうだ、と答えると、小...
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第8回 押しかけ弟子

何度か来たことがある若者だった。刀の鞘を作るナイフと特殊な鑿を作ってくれという。引き受けて鍛冶場に入ると、そのままついてきて横に立ち、小黒さんの仕事をじっと見ている。よほど刃物が好きなのだろう。時々こんな客がいる。だから、ふと口にでた。「学...
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第7回 一人だけの弟子

福島からバイクで乗り付けた高校生がいた。  「俺、鍛冶屋になりたいんです。伝統工芸士を目指してます。弟子にしてもらえませんか?」  ほう、福島からわざわざ、ね。しかも、まだ高校生で。どこで私を知ったのか? 悪い気はしなかった。だが、小黒さん...
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第6回 小黒さんの仕事(下)

刃物は厚く作って薄く研げ。 これが刃物造りの原則である。  熱され、叩かれた鉄の表面は、小黒さんによると  「空気にさらされることもあって疲れてるんだんべ」  この疲れている表面は、研いで落としてやらないとまっとうな刃物にはならない。だから...