Knitting Inn

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その4  苦し紛れ

何事でも後講釈は簡単である。成功した今になって考えれば、「どうしてもっと早く気がつかなかったのか」といいたくなるほどの当たり前の発想である。だが、アイデアとは無から生まれるものではない。雑多なままに頭の中で漂い続ける様々な知識のいくつかがあ...
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その3  ニッチマーケット

不思議なことに、それでも智司社長に絶望感はなかった。いいマフラーを作り続ければ、絶対に何とかなると、何故か確信していた。「私は全国の同業者を全て知っています。うちで作っているようなものを作れるところはどこにもありません。国内で作れないものは...
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その2  「遅かった」だけ

ファストファッションとは、最新の流行は取り入れながら、価格はギリギリまで抑えた衣料品である。「同じような機能なら、安いもので充分。できればファッショナブルであってほしいが」とは、バブル崩壊後の低迷する経済社会を生きていかねばならない消費者の...
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その1  会社を閉じよう

「兄貴、もう会社を閉じようか」敏夫専務が弱気の虫にとりつかれたのは、2004年の末だったという記憶がある。突然の話に驚いた智司社長がのぞき込むと、疲れ果てたような弟の顔があった。会社を閉じる? 代々受け継いで守ってきたこの会社を俺たちがなく...