松井智司の「美」

松井ニット物語

その24 森山亮さん

桐生は衰退する繊維産業の町である。いま初めて桐生を訪れる人がいても、この町がかつて織物で全盛を誇った町と気がつく人は少ないかも知れない。それは桐生人が一番痛切に分かっている。だから、織物の町、織都桐生を再興しようという試みは何度も繰り返され...
松井ニット物語

その23 買い漁る

日本のデザイナーたちからの仕事受けるようになって、松井ニット技研もオシャレっぽいマフラーの製造を始めてはいた。だが、マフラーは先に染めた糸を使って編む。編んだあとで染めるのならたくさんの色が使えるが、先染めでたくさんの色を使うのは編む工程が...
松井ニット物語

その22 真っ赤なロングマフラー

話を元に戻そう。パリを出た智司社長とデザイナーはコルシカ島に向かった。そこからニース、マルセイユと足を伸ばし、イタリアに入ってピサ、フィレンツェ、ローマ、ミラノと歩いた。デザイナーはミラノで「私、これからちょっと用事がありますので、ここで」...
松井ニット物語

その21 YEARLING

少しばかり話が脱線したかも知れない。だが、カンディンスキーとの出会いは智司社長に決定的な影響を与えたのではないかと筆者は思う。だからもう少し脱線を続ける。智司社長の「合唱」である。桐生には、まだ戦後の混乱期ともいえる昭和23年(1948年)...
松井ニット物語

その20 和と洋

カンディンスキーの2人目の妻でその死を看取ったニーナ・カンディンスキーが初めて彼の絵を見たのは、まだ学生時代のことだった。もちろん、知り合う前のことである。彼女はその時のことを、その著書、「カンディンスキーとわたし」(みすず書房)に次のよう...