芽生え

松井ニット物語

その14 そして、自立

松井ニット技研がA近代美術館から得たものはたくさんある。まずは、安定した取引先として経営を支えてくれた。美術館がマフラーの販売ルートになることを教えてくれた。A近代美術館に声をかけられていなかったら気がつきもせず、イギリスのコートールド美術...
松井ニット物語

その13 名誉

お互いを認め合うA近代美術館との関係は年々深まった。松井ニット製のマフラーを求める消費者の列は相変わらずで、A美術館では好調な売り上げが続いた。松井ニットは間もなく、自社ブランドとして「KNITTING INN」を立ち上げた。A近代美術館と...
松井ニット物語

その12 デザイン力

だが、相手は誇り高いA近代美術館である。この2年で良好な関係を築き、目覚ましい売れ行きという実績が伴って信用も得られたとは思う。だが、だからといって、日本の、地方都市の、一介のちっぽけなマフラーメーカーの提案に彼らが耳を貸してくれるだろうか...
松井ニット物語

その11 挑戦

A美術館での大成功は心地よかった。だが、智司社長はそれで良しとする人ではなかった。「このままでいいのか?」という吹っ切れない思いがどうしても抜けなかったのだ。「A美術館の販売部門で私たちのマフラーがいくら評判がよくても、羽が生えたかのように...
松井ニット物語

その10 常識破り

一行が引き上げ、間もなく年が明けた。話し合いでまとまった色の選択をもとにした糸を発注した。驚くほどの売れ行きだった前シーズンは「売れすぎ」て、最後は糸が足りるかどうか冷や冷やの連続だった。だからこの年は、糸の発注を大幅に増やしたのはいうまで...