佐藤 貞巳さん・目次

佐藤 貞巳さん:からくり人形師

独学で伝統の技を越えた、桐生のからくり人形師。既存の枠に囚われない「遊びの虫」を武器に、伝説の機織神「白瀧姫」や伝統人形を次々復元。病を抱えながらも、常に「本物」と「驚き」を追求し続ける不屈の職人魂。(全20回)

第1回:織都・桐生機織神・白瀧姫が守る「織都」桐生。かつて国家予算の1割を稼いだ街で、佐藤さんは独学でからくり人形を極めた。世界初「実際に布を織る白瀧姫」まで創り出す。
第2回:人形が布を織る「形だけ機を織るように見えればいい」当初はそう考えていた。だが、からくり人形師の魂がそれを許さない。木や竹という伝統素材のみで、世界初「実際に布を織る白瀧姫」を生み出すための、夜を徹した挑戦が始まる。
第3回:ポーズをとる白瀧姫滑車の穴にあえて「遊び」を作る。その独自の工夫が、人形に人間らしい柔らかな動きを宿らせた。観客のカメラに顔を向け、ポーズを決める白瀧姫。驚きと感動の「魔法」の正体に迫る。
第4回:白瀧姫は布を織れるか織機のミニチュアも完成し、準備は整った。だが「織っているフリ」に満足できない。不可能と思われた「杼(ひ)を飛ばして本当に布を織る」仕組みへ挑戦する。
第5回:リニアモーターカー「本当に布を織る」とTV記者に公言した。彼を救ったのは、ニュースで見たリニアモーターカーだった。磁石を使い、試行錯誤の末に「杼」を飛ばすことに成功。えびす講の初日、白瀧姫が桐生の地で布を織り始めた。
第6回:文武両道秋田の農家に生まれ、「文武両道」のガキ大将だった。墓地の卒塔婆でスキー板を作り、廃材で灯台を光らせる。少年の溢れる好奇心と図画工作への情熱が、後に「からくり人形」へと結実する。
第7回:修行時代15歳で足利の時計屋へ弟子入り。過酷な雑用といじめに耐えながら、時計の精密な構造を体に叩き込んだ。この時の「分解と組立」の経験が、設計図のないからくり修復の基礎となる。
第8回:夜逃げ理不尽な修行環境から二度の夜逃げを試みるも失敗。しかし、自由を求めるエネルギーは消えなかった。東京、そして足利の整備工場へ。己の腕一本で生き抜く覚悟を固めていく。
第9回:遊びの虫桐生の清水時計店で宝石担当に。信頼を得ると、眠っていた「遊びの虫」が騒ぎ出した。前例のない「動く七夕飾り」を提案。ここから、街を驚かせるからくり人生が加速する。
第10回:ロケット高さ9mの巨大ロケットからくりを製作。火花を散らし上昇する演出は街の話題を独占した。東電の制止をかわしながら稼働させ、見事「知事賞」を受賞。佐藤流からくりの真骨頂。
第11回:売り上げトップに真珠採取や金龍銀龍など、独自の集客からくりが大当たり。昭和53年には店を北関東売上1位へと導いた。「面白いものには人が集まる」という信念が形になった時代。
第12回:桐生のからくり人形時計店を辞め、宝石商として独立。そして江戸時代から桐生に伝わる「竹田からくり」の歴史に出会う。街の蔵に眠る伝説の人形たちが、佐藤さんの手を待っていた。
第13回:修復作業ボロボロになった伝統人形を持ち帰り、夫婦二人三脚で修復を開始。設計図はない。人形の内部に残るわずかな痕跡から、かつての躍動を読み解く孤独な作業。
第14回:出るわ出るわ修復の噂を聞きつけ、市内の蔵から48体もの人形が発見される。お焚き上げ寸前だった名品を救い出し、桐生の伝統芸能を絶滅の淵から繋ぎ止めた。
第15回:レプリカ1文化財を保護しつつ上演を続けるため、レプリカ製作を決意。修復で得た知見を全て注ぎ込み、10年で37体を自作。伝統を「今動くもの」として再生させた。
第16回:レプリカ2ただ真似るのではない。独自の改良で、敵役が悶え苦しむなど「本物以上の躍動感」を実現。スプリングや真綿を使い、物語の余韻まで描く佐藤流レプリカの完成。
第17回:浅草浅草公演を巡り、保存会と衝突。「桐生の恥にならない舞台を」という職人の誇りが、組織との決別を招く。心血を注いだ37体の人形と離れる苦渋の決断。
第18回:屋根が、飛んだ!江戸博公演での絶賛、そして嵐の中での熱狂。数々の伝説を作った人形たちは今、保存会にある。離れてもなお、自分が生んだ子らへの愛情は消えることはない。
第19回:えびす講西宮神社の「えびす講」で新作を次々発表。鯛を釣るえびす様や面が替わる頼朝。20万人の観衆を沸かせるその仕掛けは、佐藤さんだけの自由な舞台。
第20回:弓曳童子最高峰「弓曳童子」への挑戦。右手で弦を引く独自の構想で、不自然さを排した真の動きを追求。74歳、病を抱えながらも、夢は止まることを知らない。