2021-08

Knitting Inn

その3  ニッチマーケット

不思議なことに、それでも智司社長に絶望感はなかった。いいマフラーを作り続ければ、絶対に何とかなると、何故か確信していた。「私は全国の同業者を全て知っています。うちで作っているようなものを作れるところはどこにもありません。国内で作れないものは...
Knitting Inn

その2  「遅かった」だけ

ファストファッションとは、最新の流行は取り入れながら、価格はギリギリまで抑えた衣料品である。「同じような機能なら、安いもので充分。できればファッショナブルであってほしいが」とは、バブル崩壊後の低迷する経済社会を生きていかねばならない消費者の...
Knitting Inn

その1  会社を閉じよう

「兄貴、もう会社を閉じようか」敏夫専務が弱気の虫にとりつかれたのは、2004年の末だったという記憶がある。突然の話に驚いた智司社長がのぞき込むと、疲れ果てたような弟の顔があった。会社を閉じる? 代々受け継いで守ってきたこの会社を俺たちがなく...
松井ニット物語

その14 そして、自立

松井ニット技研がA近代美術館から得たものはたくさんある。まずは、安定した取引先として経営を支えてくれた。美術館がマフラーの販売ルートになることを教えてくれた。A近代美術館に声をかけられていなかったら気がつきもせず、イギリスのコートールド美術...
松井ニット物語

その13 名誉

お互いを認め合うA近代美術館との関係は年々深まった。松井ニット製のマフラーを求める消費者の列は相変わらずで、A美術館では好調な売り上げが続いた。松井ニットは間もなく、自社ブランドとして「KNITTING INN」を立ち上げた。A近代美術館と...