2021-08

Knitting Inn

その8  大原美術館

開拓営業には、金と時間と人手がかかる。最先端の技術が生み出した画期的な、競争相手がいない新製品でも、それなりのものを投入して手間暇をかけなければ市場はなかなか門戸を開いてくれない。それがいまの常識だろう。一方、松井ニット技研が売ろうとしてい...
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その7  手作り

電話営業はのっけから大成功だった。いくつもの美術館が、是非資料を見せてくれ、という。だが、これまでOEM(相手先ブランドでの生産)メーカーでしかなかった松井ニット技研に、販売店や消費者に見てもらえる商品パンフレットなどあるはずがない。電話で...
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その6  スタートダッシュ

開口一番の挨拶である。多くの美術館に電話営業をするうちに、これは敏夫専務の定例フレーズになっていく。まず松井ニット技研を知ってもらわなければならない。それにはA近代美術館での実績を挙げるのが一番手っ取り早い。何しろ、松井ニット技研はOEMメ...
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その5 美術館

とりあえずの営業方針が固まった。攻めるのはニッチマーケットである。そして松井ニット技研には、1つだけ、すでに知っているニッチマーケットがあった。美術品を愛する人々である。美術館までわざわざ足を運び、入場料を払って選りすぐりの絵画や彫刻などと...
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その4  苦し紛れ

何事でも後講釈は簡単である。成功した今になって考えれば、「どうしてもっと早く気がつかなかったのか」といいたくなるほどの当たり前の発想である。だが、アイデアとは無から生まれるものではない。雑多なままに頭の中で漂い続ける様々な知識のいくつかがあ...