松井ニット物語

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その12 デザイン力

だが、相手は誇り高いA近代美術館である。この2年で良好な関係を築き、目覚ましい売れ行きという実績が伴って信用も得られたとは思う。だが、だからといって、日本の、地方都市の、一介のちっぽけなマフラーメーカーの提案に彼らが耳を貸してくれるだろうか...
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その11 挑戦

A美術館での大成功は心地よかった。だが、智司社長はそれで良しとする人ではなかった。「このままでいいのか?」という吹っ切れない思いがどうしても抜けなかったのだ。「A美術館の販売部門で私たちのマフラーがいくら評判がよくても、羽が生えたかのように...
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その10 常識破り

一行が引き上げ、間もなく年が明けた。話し合いでまとまった色の選択をもとにした糸を発注した。驚くほどの売れ行きだった前シーズンは「売れすぎ」て、最後は糸が足りるかどうか冷や冷やの連続だった。だからこの年は、糸の発注を大幅に増やしたのはいうまで...
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その9 リブ編み

1年目の大成功の余熱がまだ冷めない2000年11月、またA近代美術館購買担当の女性が桐生にやってきた。ニューヨークで人気が沸騰したともいえる松井ニット製のマフラーだが、同じ柄のマフラーを2年続けて並べていては飽きられる恐れがある。次のデザイ...
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その8 共同開発

話を本筋に戻そう。松井ニット技研がA美術館ブランドのマフラーを作る。松井ニット技研にとっては棚からぼた餅のようないい話である。あとは細部を詰めるだけだ。最初に納品するマフラーの色、柄、素材、編み方などを決めなければならない。A近代美術館の購...