履いた時の美しさ、優美さ、最先端のファッション性。それらは女性靴の大切な要素である。だが、忘れてはならないことがある。靴は足に優しくなければならないということだ。どれほど魅力的な靴でも、中にある足を傷めてしまうのでは失格である。
だが、この履き心地というのがなかなか難しい。第2回で触れたように、人の足は千差万別である。同じ人の右足と左足のサイズが微妙に違うことだってある。クイーン堂シューズがこの難題を解決していなければ
「安くはないけどお値段にみあった良い品物があります。バッグ 靴 …今回3回目の買い物も靴👠でしたが、納得のいく買い物になりそうです。ちなみに黒のローヒール。とても綺麗な形で履きやすく気に入りました」
という投稿が寄せられることはなかったはずだ。既成の靴で、クイーン堂シューズは何を、どう解決しているのか。クイーン堂シューズの魔法って何だろう?
「基本は伸ばすと詰める、です」
と4代目の小泉充さんはいう。充さんはこう説明する。
靴はしっかりと足にフィットしていなければならない。靴の中で足が前後左右にずれては靴擦れの原因になり、第一歩きにくい。
「だから、足にぴったりフィットする靴をお勧めし、履いて窮屈な部分があれば、そこの革だけ伸ばしてやります。そのための器具としてストレッチャーがあって、熱を加えた上で伸ばすんです」
しかし、足が細い人もいる。最も細い靴を選んでも靴が少し緩いということだってあるはずだ。

詰める
「その際は、靴の中敷き、ソールといわれる部分の厚みを変えます。まず、既成靴のソールをはがします。そして緩い部分に昔は革、いまはウレタン製のシートを適当な形に切り抜いて入れ、先ほどはがしたソールをその上から貼り付けるのです」
なるほど。そうやって足にぴったりの靴にするのですね。では、それは有料での作業ですか?
「いえ、お客様の足にぴったりフィッとする靴をご提供するのが私たち靴屋の使命です。お金はいただきません。一度作業してフィット感がいま一つだったら、もう一度ソールをはがして詰め物を取り換えます」
これが、既成靴を千差万別の足を持つ客の足にぴったりフィットさせるクイーン堂シューズの魔法だった。
しかも、この作業は靴を買う時にだけやってもらえるのではない。
「夏場と冬場では、靴下の厚みが変わります。だから、薄い靴下を履く夏場は詰め物を多くする。厚い靴下を履くようになったら、詰め物を減らす。そうやっていつでも快適に履いていただける靴にします。ええ、当店でお買い上げいただいた靴なら、いつでも、何度でも無料で作業させていただきます」
なぜそんなサービスを思いついたのだろう?
「考えてみれば、当店は注文靴の工房から始まっています。いくら足型をとってそれに合う靴を作り上げるといっても、洋服の仕立てでも最終的に微調整が必要なように、注文靴でもお客様に履いていただいて微調整をしていたそうです。その微調整として曽祖父や祖父がやっていたのが革の一部を伸ばし、緩いところはソールの下に適当に切り抜いた革を入れること、だったそうです。その注文靴の技が代々受け継がれてきたようです。ええ、父も私も注文靴を作ったことはありませんが、伸ばす、詰める作業はやっていました」
しかも、クイーン堂シューズのサービスはそれだけにとどまらない。何かに蹴つまずいて革の一部がめくれた靴は、接着剤と靴クリームでできるだけ傷が見えないように修理する。汚れた靴はいつでも磨いて差し上げる。もちろん無料である。クイーン堂シューズで買った靴は、いつまでも至れり尽くせりの面倒を見てもらえるのである。
クイーン堂シューズに多くの固定客がおり、遠くからわざわざ足を運ぶ客が100人を下らないのも、これなら頷けるではないか!
写真=伸ばす


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